精油が脳に届くルートとは?アロマを嗅ぐとリラックスできるのはなぜ?
アロマセラピーのとりこになってしまった方必見!
IFPA(アロマセラピーの本場、イギリスのアロマセラピスト連盟が主催する国際資格)の資格を持つ筆者が、精油の香りが脳へ届くメカニズムや影響を詳しく解説していきます。
アロマを嗅いで「良い香り~!」とリラックスできるのは、アロマ “セラピー” の第一歩。そのメカニズムを知って、ご自身やご家族の生活に上手に取り入れてみませんか?
精油は「芳香成分」で構成されている
まず、一体精油の何が身体に影響を与えるのか。
植物は動くことができないため、自分の身を守るために、そして厳しい環境下で生き抜くために自ら様々な「芳香成分」を作り出します。
「芳香」とは、「香りがする」ということ。特有の匂いを発すれば、害虫が寄り付きません。
この「芳香成分」が、どのような成分構成になっているかによって、その植物から採れる精油の香りが異なります。
そして「芳香成分」そのものは、小さな小さな分子から構成されています。
この小さな小さな分子が身体や脳に取り入れられることで、様々な影響を与えるのです。
「様々な影響」とは、例えば「リラックスできた」とか「スッキリできた」とか、何となく鬱憤としていた状態を変えてくれるようなものです。
精油が身体に届くメカニズム
小さい小さい精油の分子は、次の3つのルートをたどって私たちの身体に取り入れられます。
1.皮膚から全身へ
2.呼吸器から全身へ
3.嗅覚から脳へ
皮膚から全身へ
精油の分子は非常に小さく、皮膚に塗ることで簡単に浸透します。
浸透した精油の分子は血管に入り、血流に乗って全身の各組織や器官に運ばれ、力を発揮します。
呼吸器から全身へ
呼吸により吸い込まれた精油は肺に入り、肺胞から微量ながらも血流に入り、全身を巡りながら作用します。
嗅覚から脳へ(詳しく解説)
皮膚や呼吸器からと違い、嗅覚から入る精油分子はダイレクトに脳に届くため、身体だけでなく心にも影響を与えます。
ここでは、精油分子が脳に届くルートと、心や身体への影響を詳しく解説していきます。
精油分子がたどるルート
①精油を嗅ぐことで鼻から入った精油分子は、鼻の穴の天井にある「嗅上皮」に届きます。
②精油分子はこの嗅上皮にある粘膜にくっついて、「嗅細胞」を刺激します。
③刺激により電気信号が発生。その電気信号は、「嗅神経」を経て「嗅球」に伝わり、そのまま大脳皮質の「嗅覚野」に伝えられ、私たちは「においがする」と認識します。
精油を嗅いでから嗅覚野に到達するまでの時間はなんとわずか0.2秒!痛みの感覚が脳に届くスピードより速いのです。
心や身体への影響
大脳皮質に伝えられた嗅覚情報は、どのように身体や心に影響を与えるのでしょうか?
本能に働きかける
大脳皮質は、次の二つに分けれらます。
1.論理的思考を司る「新皮質」
2.記憶や意欲などの本能を司る「大脳辺縁系」
嗅覚は、五感の中で最も大脳辺縁系を刺激すると言われ、においが食欲を誘ったり、眠たくなったり、懐かしい記憶を蘇らせるのは、嗅覚からの情報が本能を刺激しているからなのです。
同じように、アロマを嗅いだ瞬間に本能が刺激されることで、ふわっと気持ちが緩んだり、シャキッとやる気がでたりするのです。
自律神経・ホルモンに働きかける
大脳辺縁系に入った精油分子は、隣にある「視床下部」にも届きます。
視床下部は自律神経とホルモン分泌を調節する中枢。自律神経やホルモンは、身体の体温を調節したり、胃腸の働きを加速させたり緩めたり、身体の状態をなるべく一定に保つように調整する役割を担っています。
精油分子が視床下部に到達することで、自律神経を通じて内臓に影響を与えたり、ホルモンバランスに影響を与えたりするのです。
例えば。消化促進作用のあるブラックペッパーの香りを嗅ぐと胃がギュルと動くのは、視床下部に届いたブラックペッパー精油の分子が視床下部を刺激し、自律神経を通じて胃腸に影響を与えているからなのです。
まとめ
今日は、精油が脳に届くメカニズムや影響について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
深呼吸をしながら香りを嗅ぐだけで、気持ちを緩めたり、反対にやる気を出したりすることができるのは、嗅覚を通じて脳にダイレクトに影響を与えるアロマセラピーだからこその強みです。
仕事でイライラしてしまった時、ムシャクシャしてしまった時、ぜひ精油の小瓶を開けてみてください!
英国IFPA認定アロマセラピストの資格を持つ、一児の母。オーストラリア在住。
「アロマで心を変える。毎日が変わる。」をテーマに、アロマセラピー・タッチングセラピーを中心としたサービスを提供しています。
その他、オーストラリアでの子育てについての情報も発信しています。
コメント